第15章 中忍試験〜強者〜
二人は臨戦状態に入る。
が、それをよしとしない者がいた。
「ゲジマユはオレがやるってばよ!」
ナルトである。
誰からもマークのない己に憤慨した彼は、怒りの矛先を今まさにサスケに挑んだリーに向けたのだ。
しかし。
「ボクが闘いたいのは、“うちは”です」
彼は彼なりの信念で以って、サスケに挑んでいるのだ。
横やりを入れるナルトには構えようはずもない。
そしてその言葉がナルトの神経を逆撫でするなどとは、思ってもいないのだ。
「どいつもこいつもサスケサスケって、うるせーってばよ!!」
逆上したナルトはリーに襲いかかった。
彼はただ、サスケに負けたくなかったのだ。
だがリーはナルトの攻撃を見切っていた。
猪突猛進な攻撃は、誰であれ読みやすいものである。
真正面から突っ込むナルトは易々とカウンターを許すことになった。
「木ノ葉烈風!!」
「うわぁっ!!」
リーはナルトの体術を完全に抑え、素早い足払いで迎撃したのだ。
それをもろに食らったナルトは、否応なく数メートル先の壁まで吹き飛ばされた。
そしてリーは向き直る。
……サスケに。
「宣言します。君達はボクに絶対敵いません。何故なら今、ボクは木の葉の下忍で一番強いですからね」
時間が合うときだけとはいえ、彼と一緒に修行しているリエには、リーの強さは充分すぎるほどわかっていた。
「…サスケ、受付の四時まであと三十分しかないし…やめよう、ね?」
今のサスケではきっと彼には勝てない。
そう思うから、彼の自尊心を傷つけないよう、やんわりと止めてみた。
……こんなことで彼が止まるとは思っていないけれど。
そして予想に沿った答えが耳を掠める。
「五分で終わる」と。