第15章 中忍試験〜強者〜
四人が階段を進み301号室に向かっていると、一階上の踊り場に人影がひとつ。
「目つきの悪い君、ちょっと待ってくれ!」
四人はその声の主に目を向けた。
そこにいたのは……ロック・リーだ。
「……なんだ?」
目つきが悪いと言われて安直に反応するサスケに、リエは思わず吹き出しそうになった。
((目つきの自覚、あったんだ))
青い果実 15
リーは強い視線をサスケに送っていた。
その目はとても好戦的だ。
そしてそれは、言葉になる。
「今ここで、ボクと勝負しませんか」
挑戦的な台詞にサスケの眉がピクリとあがる。
「今ここで、勝負だと……」
「ハイ」
リーは言葉と同時に地を蹴り、サスケやリエが立つ二階廊下へと降り立った。
「ボクの名はロック・リー。人に名を尋ねるときは、自分から名乗るもんでしたよね」
サスケとネジの会話を聞いていたのだろう、彼は笑ってそう言った。
彼の目に映るのは、たった一人。
「……うちはサスケくん」
「フン…知っていたのか」
「君と闘いたい!あの天才忍者と謳われた一族の末裔に、ボクの技がどこまで通用するのか試したい……」
リーは腰を落とし、戦闘態勢に入る。
「それに……」
そしてそのまま視線をサクラに送った。
先ほどと同じく、その頬が僅かに染まる。
「イヤーっ!!あの下睫毛がイヤー!!!」
穴があくほどのリーの熱い視線に、サクラは身悶えた。
というか、完全に拒絶である。
……が、リーも負けてはいない。
そんなサクラに怯むどころか、彼は投げキッスをお見舞いしたのだ。
それは淡い桃色のハートを模って、サクラに迫る。
悲鳴をあげながらも流石はくノ一、根性でそれをギリギリかわした……まではよかったが、その反動でサクラは床に後頭部を思い切りぶつけた。
「だっ…大丈夫!?サクラちゃん!」
「った~~!アンタ!変なもん投げんじゃないわよ!!」
目に涙をため、サクラは激昂した。
後頭部には無残にも、たんこぶが出来ている。
サスケはそんなことにはお構いなしに話を続ける。
「うちはの名を知って挑んでくるなんて、無知な輩だな。……この名がどんなもんか、思い知るか?ゲジマユ」
「……是非!!」