第14章 中忍試験〜開幕〜
静まり返る廊下に、一人の声がやけに響いた。
「正論だな。だがオレ達は通してもらおう」
そう言うサスケは怯む様子もなく、彼らとの距離をつめる。
「オレ達は“三階”に用があるんでな」
当然のように言い放つサスケに、周囲からどよめきが上がった。
どうやら志願者のほとんどは、この事実に気付いていなかったようだ。
サスケの言葉に、扉をふさぐ男達は楽しげに笑う。
「ほう…気付いていたのか」
「ああ。……サクラ、お前ならすぐ気付いたんじゃないか?お前の分析力と幻術のノウハウは、オレ達の中で一番伸びてるからな」
サスケのその言葉にサクラは頬を染めた。
大好きな人に、大切な仲間に、こんなにも信頼されていることが素直に嬉しかったのだ。
サクラは男達に向き直り、自信に満ちた視線で射た。
「もちろん…とっくに気付いてるわよ。だって、ここは二階じゃない!」
その言葉と共に、ぐらりと幻術が崩れていく。
そして現れる部屋番号は、201号室。
「ふ~ん……中々やるねぇ。でもこのくらい、破れて当然だぜ…!」
負け惜しみにも聞こえるぼやきをこぼした男は、口角を吊り上げたままだ。
刹那。
男は地に手をつき、反動でサスケに蹴りかかってきた。
サスケは持ち前の反射神経で素早く回避してさらに攻撃に切り替える。
左を軸足に、顎を狙った上段蹴りだ。
顎に衝撃を与えれば、たいていの人間は脳を揺らす。
それなりに入れば脳震盪だ。