第14章 中忍試験〜開幕〜
「…サクラちゃん、今まで誰にも言えないで悩むの、辛かったね」
優しい声でそう言われたとき、サクラの涙腺が思わず緩んだ。
「私も、そうだった。私は頭も良くないし、要領も悪いし、つい最近まで忍術だってほとんど使えなかった。足引っ張って皆に迷惑かけたくないって、私なんかがいていいのかなとか、本当は思ってたよ。
でも七班は、それぞれちゃんとした役割が出来てる、そうわかってから、あんまりそういうこと考えないようになったんだ」
そう言うリエに、サクラは役割?と繰り返した。
「うん。私達は四人一組のチームなんだよ。カカシ先生も言っていたけど、何よりチームワークが大事だと思うの。七班ってすごく個性的じゃない?ナルトくんは先陣を切って戦うスタイルでしょ?サスケは前線でもいけるけど、視野が広いから追い討ちタイプかな。私も手裏剣術は得意だし、ナルトくんやサスケのフォローなら出来る。
そしてサクラちゃん。サクラちゃんは、誰にも負けない分析力と知識を持っている。サクラちゃんじゃなきゃ出来ないこと、いっぱいあるよ」
にっこり笑って、リエは続ける。
「あの二人は目立つし、サスケとナルトくんの成長ばかりに目がいっちゃうけど。でも、サクラちゃんだって強くなっているよ。あの木登り修行でだって、サクラちゃんが一番早くてっぺんまで登ったじゃない!チャクラコントロールが優れているって、それも才能だよ。
私達に出来ないことをサスケとナルトくんがしてくれる。それなら、サスケやナルトくんに出来ないことを、私達がやればいいんじゃないかな。
不安なのは私も一緒だよ。でも皆が、仲間が一緒だから…大丈夫。一緒に乗り越えて行こう、サクラちゃん」
「……うん…」
頷いた瞬間に、大粒の涙がサクラの頬を伝って流れる。
「あり、がと…リエっ……」
リエはサクラの涙が止まるまで、震える肩を優しく撫で続けた。
ずっと外気に触れていた団子は本来の柔らかさを失ってしまったが、笑顔を取り戻したサクラと二人で食べるその味は格別であった。