第6章 猫カフェのお供に ~海堂薫~
「海堂くん」
「ん?」
「コレ見て!! めっちゃ可愛くない?!」
私が見せたのは、スマホで撮りまくった猫の写真。
ふふふ。
知ってるんだよ、君が猫好きだってことは!
「……これ…亀吉…?」
「えっ…」
なんで知ってるの?!
この猫、最近できた猫カフェの中でも新入りの子なのに!!
絶句した私に、海堂くんはちょっと顔を赤らめてそっぽを向く。
「この猫カフェ…ブログ更新早いから…」
なんと!
ブログチェックしてたのか…!!
猫好きにもほどがあるよ、海堂くん。
「そ、そうなんだ…」
「なんだよ、文句あるか…」
「ない! って、ここは行ったことあるの?」
「いや…」
「え、なんで?」
「なんでって…男が一人でこんなとこ、行けねぇだろ…」
確かに。
私のラーメン屋と同じか。
ん? ってことは。
「あ、じゃあ一緒に行く?」
じゃじゃん、と私は猫カフェのスタンプカードを顔の横に掲げて見せた。
あと二つでスタンプが埋まる。
このスタンプが埋まると、スペシャルな猫餌がゲットできるのだ。
「……行く」
「よし! いつ行く? 今日だといきなりすぎるから…ちょっと待って、バイトのシフト確認するから」
「ああ」
海堂くんはスマホのスケジュールアプリを、私はアナログに手帳を取り出して予定を合わせる。
「来週の木曜日だね」
「そうだな」
「毛足の長い猫もいるから、靴下は換えがあった方がいいかも」
「わかった」
おお。海堂くん、嬉しそう。
「写真送ろうか?」
「……」
無言でこくり、と頷く海堂くん。
なんか可愛いなぁ。
そう思いながら、コミュニケーションアプリを交換する。
「アルバム作るね」
その場でいくつか写真をチョイスして送れば、海堂くんは嬉しそうにスマホを見ていた。
「じゃ、またね」
「ああ」
この後、別々の授業があるので私と海堂くんはバラバラに。
来週の木曜が待ち遠しいな。
猫カフェ、私も大好きだし。
海堂くんは亀吉がお気に入りなのかな。
猫なのに亀吉。
ぷくく。変な名前。