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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第19章 grand finale √parallel



「それが俺だった、ってワケよ」

 黒尾の言葉によって話が締めくくられる。ちらほらと挙がる「へえ」「ふうん」という反応。

 ふと、何かを閃いたのは赤葦だった。


「じゃあ、その烏がいなかったら黒尾さんは、俺たちよりずっと先に生まれてたかもしれないんスね」

「お、面白いこと言うね赤葦」


 満足げに小首を傾げる黒尾。

 流れにのってカオリが「鉄朗が五歳上とかイヤだわー」と言葉を付け加えた。

 計算が追いつかない木兎は、頭上に「???」を浮かべている。


「あ? 何がイヤなんだよ」

「大人の権力を振りかざしてきそうで」

「ああ、ちょっと分かります、それ」

「おい、どういう意味だよ」

「そのままの意味だよ、ね、赤葦くん」


 年齢談義に華を咲かせる彼ら。

 話題に乗りきれなかった木兎は、つまらなそうに、バレー雑誌をパラパラとめくる。そんな彼を気遣うのはやっぱり赤葦だった。


「……今月の特集は東北勢ですか」


 ひとり寂しそうにする大きな背中に、そっと、声をかけてやる。すると、パッと顔を輝かせて木兎が振り向いた。


「おう!そして来月は俺が!載る!」

「この前取材されてましたもんね」

「カオリには一番に読んでほしい!」


 木兎の言葉を華麗にスルーして、カオリは、その骨張った手から雑誌を抜きとった。どれどれ、と記事に目を通す。

 それから、とある写真をみて吃驚仰天した。


「あーーー! 私の王子さま!」


 その視線の先にあるのは、写真のなかで爽やかに微笑む、及川徹の姿。

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