第18章 xxx ending √3:TETSURO
*
「黒尾って、色っぽいしかわいいね」
急に、彼女がそんなことを言うもんだから。頬に全身の熱が集まるような気がした。
恥ずかしさのあまり目が泳いで、それから、視線を右下に固定して押し黙る。
初めて言われた。
可愛いだなんて。
どう見ても俺は「かわいい」とはかけ離れた容姿だし。どちらかといえば「怖い」とか「近寄りがたい」とか。そんなことばかり言われてきたのに。
「可愛い、……俺が?」
「うん。かわいいよ、とくに喘ぎ声が」
「お前……っからかってんだろ!」
ペースが乱される。
こころが乱される。
もっとスマートに振る舞いたいし、大人の余裕を保ちたいとか、男には色々と事情(プライド)があるってのに。
彼女の前では全部どうでもよくなってしまう。まるで思春期の子供みたいに、胸が弾んで、くすぐったくて。
ああ、好きなんだなあ、って。
カオリと過ごす時間が増えるたび、そう思うんだ。
「からかってないよプリ尾くん」
「は!? な、んだ、そのダサいの」
「プリティな、黒尾、プリ尾」
「はい怒ったもうお兄さん怒りました」
やっと手に入れた甘やかな時間。
そのはずなのに。どうも恋人らしく出来ないのが俺たちの【あり方】ってやつらしい。
まあ、これはこれでいいか。
だって俺、今スゲエ幸せだ。
「ん、やっ……くすぐったい!」
どこ舐めてんのよ!
彼女が言う。俺はツン、と視線を逸らして、カオリの脇腹を重点的に虐めることにした。さっきのお返しだ。