• テキストサイズ

(R18) Moulin Rouge (HQ)

第15章 extra xxx 003



 それは小さな錠剤だった。

「より高い避妊効果を得るためにも、今すぐの服用をおすすめします」

 世で言うところのアフターピルを差しだすのは【白布】という男。

 少年にも青年にも見える彼は、淡々と、まるで機械のように薬効について説明していった。

 緊急避妊薬を飲んでも妊娠してしまう可能性があるということ。服用回数とその副作用について。中絶に関する医師の指定と紹介。

 つらつらと言葉が並べられていく。

 最後に「この件に関してはすべて白鳥沢組の指示に従っていただきます」と念を押されて、水入りのペットボトルを渡された。

 彼に促されるまま。

 薬を服用する。こくり。喉が鳴る。空っぽの胃に冷たいものが流れこむ。 

 投薬が無事完了すると、今度は縦長のパンフレットが差しだされた。


「次に心療内科についてですが──」


 映画でも観てるみたいだ。

 たくさんある椅子のひとつに座って。大きなスクリーンを眺めて。まるで、すべて、自分のことじゃないような。

 ただ景色が流れていく。
 再生されるだけの映像のように、単調に、流れていく。

 空虚なこころに漫然としてあるのは、言いようのない【罪悪感】だった。

/ 254ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp