第13章 extra xxx 001
こころを満たすのは怒りだ。
確かに怒りなのだけれど、それは同時に虚無感でもある。空っぽの暗闇。まるで、胸に大きな穴があいたみたい。
「やらなきゃ殺すよ?」
「ん、うっ、……んんっ」
「あはは、そう、上手」
俺の声ってこんなに低かったっけ。俺の顔っていつからこんなに醜くなっちゃったんだろ。
鏡に映る自分はまるで、そう。
まるで意地悪な魔女のようで。
「あっ、やめ……んっ……!」
小刻みな痙攣とともに吐き出された白濁。射精しても尚勢いを衰えさせない彼自身に、今度は、震える彼女を跨らせる。
俺という狂気を前にした恐怖。
それが彼女から抵抗する力を奪ったらしい。カオリは怯えた顔で、しかし、拒むことなく俺の言うとおりに動いた。
徐々に下ろされる腰。
ふる、と彼の身体が震えて、二人はひとつになる。結合部から聞こえるのは耳が痛くなるほどの水音。
ぐちゅぐちゅと響くそれは喧しく、延々と、俺を苦しめるのだった。
「……っん、は、ぁ……カオリ……? なん、で……っん、ああっ」
別に、恋じゃない。
別に、愛でもない。
友達なんて脆くて不確かな関係でもないし、相棒って彼は言ってくれたけど、それともまた違う気がする。
岩泉一。俺の大切なひと。
俺を地獄から救ってくれた岩ちゃんは確かにヒーローで、希望で、光だったよ。ありがとう。ごめんね。
「……さようなら」
第一話「限界陵辱」___fin.