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【恋乱】短編集

第2章 下心~明智光秀~


「ち、違うんです…そんな、心配されるほどのことじゃ」
「では、何なのです…あなたにそんな顔をさせるのは」
 琴子の頬に触れる。
 長い髪が褥の上に広がり、恥ずかしそうにする琴子は、ひどく扇情的だった。
「琴子さん…?」
 いつの間にか上にのしかかるような体勢で、光秀は琴子に迫っていた。

「み、光秀様のせいですよ…!」
 意を決して琴子は声を上げるが、光秀はそれにくすりと笑う。
「私のせい?」
「そ、そうです…! だって、だってこんな…」
「こんな?」
「…っち、近いんです」
「近い?」
 そんな問答をしながら、光秀は琴子にどんどん顔を近づけていく。
「ほ、本当に近いです……」
 顔を真っ赤にする琴子が可愛くて、いじめたくて。
「近いと、何か不都合でも…?」
 耳元でそう囁けば、琴子は体をカチコチに硬くしてしまう。
「琴子…あなたに触れても構いませんか?」
 光秀の吐息が首筋にかかる。
 断るなんてできない。
 もっと触れて欲しいと思ってしまっている。

 琴子が小さく、それでも確実にうなづいたのを確認した光秀は、そのまま柔らかな肌に吸い付いた。
 首筋に赤い痕がつく。
「み、光秀様…」
「…なんでしょう」
 欲情に火がついたのか、光秀の目は恍惚としており、琴子を一心に見つめている。
「寒くないですか…?」
 琴子が自分の褥に光秀を誘う。
「……その意味、わかってますよね…」


 返事を待たずして、光秀は琴子の唇を塞いだ。
 






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