第16章 涙色のセカンドキス
「……っおに、い、ちゃん?」
開け放ったドア。
軋む、ベッド。
電気も点けずにひとりで泣いていた妹を、腕のなかに抱き留めて。きつく。きつく。
「ごめん、……これが最後だから」
ごめん。
俺がもっとしっかりしてれば、お前を幸せにしてやれた。バレーのことも。兄妹だってことも。全部乗りこえて愛してやれた。なのに。
ごめん。
熱くて、情けない、涙の雫。
眦からこぼれて、次から次へと止めどなく。ジワリと滲んで彼女の服を濡らしていく。
「……お兄ちゃん、私ね」
かおりが涙ながらに語る。
想い。愛の言葉。
俺の笑った顔が好き。拗ねた顔が好き。照れた顔が好き。明るくて、眩しくて、暖かい。
「みんなに愛されてる、まるで、太陽みたいなお兄ちゃんが……ったとえ、私だけのお兄ちゃんじゃ、なくても……っそんな、光太郎が」
好きだよ。
そう言って笑うんだ。