第15章 サヨナラしますか
本戦前最後の練習試合。
俺にとっては、高校生活最後の梟谷グループ合同練習でもある。
とくに大きな問題もなく過ぎた一日を終え、帰宅の準備を整えたところで、スマホに着信。
かおりからだった。
かおり。俺の彼女。恋人。
そんで、アイツの妹。
【今日会えませんか】
かおりが告げたのはそれだけ。
今まで誘われたことなんてなかったから、正直、ちょっと面食らった。
嬉しい、とは思わない。
だって、別に好きじゃないから。
これは恋じゃない。
勿論、愛でもない。
そう思ってるのはなにも俺だけじゃないし、かおりも同じことを考えてる。
木兎が、兄が、無事に妹離れしてバレーに集中できますように。そのために始めた恋人関係だ。
結果は、まあ、上々。
アイツは無事にひと皮向けたみたいだったし、チームメイトとの関係も良好に見えた。あとはアイツ次第でどうにでもなるだろう。
全国へ。
世界へ。
羽ばたいて、遠くへ。
手の届かない存在になってしまうと思うと寂しいけれど、それでも、俺はアイツにプロになってほしいと思う。
そう、願う。