• テキストサイズ

(HQ) プラトニック・ラブ

第13章 穏やかじゃない



 一大事だった。

 梟谷排球部創設以来の、それはちょっと言いすぎか、ともかく一大事である。


「週末の練習試合は二年中心でいくからな。三年は本戦に向けて各自、トレーニングと調整を怠らないように。ああ、それから、体調管理な。試合前に風邪だけは引くなよ」


 おかしいのだ。
 木兎の様子が。

 いや、たしかにアイツは主将だし、こうして部を取りまとめるのが仕事なのだけれど。

「なあ木葉……あれ、誰?」

 チームメイトの小見が青ざめた顔で問う。その隣にいる猿杙も、同じ疑問を抱いているらしい。

 恐らく、ここにいる全員が同じことを考えているのだろう。マネージャーも、コーチも、監督もだ。

 あの木兎が、ちゃんとした主将に見える。やはり一大事でしかない。


「まるで別人、だな」


 重々しく言ったのは鷲尾だった。

 激しく同感だ。
 今までの木兎といえば、部活終了後の総括をする赤葦の隣で、腕組んでうんうん頷いてるだけだった。

 影響力だけは人一倍のくせに、言語力がとても残念で、思わず支えてやりたくなる俺たちの主将。

 それが、今や、あれである。

/ 96ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp