第7章 プラトニックなの
「どうしよう……俺、好きな子に嫌われちゃったかもしんねえ」
ズカズカとロッカールームに入ってくるなり、こいつは、そう言って床に膝をついた。
シャワー後ってこともあって、髪がぺたんこのエース様はなんだか頼りない。
「はあ、好きな子、ねえ」
とっくに帰ってしまった部員たち。
ガランとした部屋には、木兎と俺。
いつまでもグダグダと、ひとり残っていたのがマズかった。木兎のこの感じ。確実に面倒臭いやつだ。
「聞いてくれるか木葉くん!」
「おう、いや、……うん」
だってお前、聞かないなんて言ったら拗ねて口聞かなくなるだろ。これは勿論オフレコで。
こうして木兎の恋バナを聞くことになってしまった俺、こと、木葉秋紀。
良くも悪くもバカすぎる我らがエースで主将が、あまりにもツラく悲しい恋に落ちてしまっていることを、この時の俺はまだ知らない。