第3章 雲雀恭弥
「先生・・・頭が痛いんで保健室行ってきます」
唐突にそう告げた光に数学担当の先生は呆気にとられたが、すぐさまOKを出して光を保健室に送り出した。そんな光を見て英美は苦笑して、光から回ってきた紙を見つめてため息をつく。
「咬み殺されないと良いけど・・・」
ポツリと英美が呟いた声は席が近い花に聞こえてしまったが、花は気にせず授業を聞いた。
一方の光はというと、実は屋上に向かっていた。光が担当の先生に言ったのはあながち嘘ではない。理由は今日起こった出来事についてだった。大人しそうなイメージだったツナが、パンツ一丁で京子に告白したのと剣道部の持田が偉そうな事をバカ騒ぎしたせいだ。光は英美に連れていかれて見るはめになってしまったので、余計に機嫌が悪い。
「沢田にやられたやつ・・・死ねばよかったのに・・・ちっ」
屋上について早々言った台詞がこれだった。持田のような人間が大嫌いな光にとっては、まるでウジ虫が出てきそうなほど嫌で仕方ない。そんなとき、いつからいたのかはわからないが頭の悪そうな不良達が光に話し掛けてきた。
「こんな所で何してんの?」
「授業はぁ~?」
バカにしたような笑い声が光の勘に触る。しかし、スルースキルの高い光は不良達の話などは無視を決め付け、沢田と持田の勝負を思い出していた。
光が話を聞いていないことにようやく気づいた不良達は光の近くのフェンスを殴る。チラリとフェンスを見ただけの光に腹を立てた、不良達が光を自分達のいる方向に向かせてフェンスに叩きつけ殴り掛かろうとした。
「調子乗んなよ!」
「調子乗ってるのはどっちなの?」