第10章 理科の点数
何かの爆発音が聞こえてチラリと音の聞こえた校庭を見ると、校庭に大きなヒビが入っていた。光は大きなヒビが入ったところに獄寺とツナの姿を見つけ、二人が何かやらかしたんだと思った。しかし、関わろうという気にはなれずにそのままスルーしようとしたのだが、愛美が獄寺とツナの方まで走っていく姿が見え暫し固まる。
呆気にとられていた光をたまたま通り掛かった風紀委員の草壁が光に声をかけた。光はいきなり話し掛けられたことに驚いていたがすぐにそれはなくなり、草壁と話す。
「柿澤さんは何故こちらに?」
「変なものが見えたから……まぁ、もういいんだけど」
「そうなんですか」
草壁は光の言葉にニコリと微笑む。風紀委員である彼は光が雲雀の初恋の人だということはわかっていて、光に何かあればそれこそ心臓に悪い。雲雀の機嫌の良い悪いは全て光にかかっているのだ。そうとも知らない光は呑気に空を眺めている。実際、草壁はわからなかったのだ。なぜ、雲雀がこんなに平凡な子を好きなのか直接雲雀に聞きたい気持ちも勿論あるが、余計なことを聞いて雲雀の機嫌を損ねるようなバカな真似はしたくないのだ。これでも草壁は雲雀に忠実なため、余計なことはしない主義なのだ。草壁は再び光に話し掛けようとしたが、光はいつの間にかその場にいなくなっていて一人草壁はその場に残された。
光はと言うと理科の点数のせいで色々親に言われるのを気にして、テストを隠そうかどうか悩んでいたのだがチラリと窓を見ると見えたツナと獄寺の顔を見てそう言った気分もなくなり英美と共に帰ることにした。
後日
学校に行くとあの忌々しい教師が辞めさせられたと言う話を聞いてクラス中が盛り上がっていたと。しかし、その中光だけが浮かない顔をして一時間目から光の姿はなく。風紀委員と先生達だけが光の居場所を知っていたらしい。
「ここが違う」
「……帰りたい」
「だめ」