第2章 日常
「・・・・・・風紀委員長って誰だっけ?」
光の言葉に英美と近くの席で聞こえてしまったツナは、これでもかってぐらい驚いた。まさか、天下の風紀委員長。雲雀恭弥を知らない人がいたなんて。と、ツナが心の奥底から思った。しかし、英美はというと呆れながら光の頭を軽く叩く。
「光・・・クラスメートのフルネームを言える人を延べて」
「・・・武山英美。沢田綱広。山本武。沢田京子。黒平花。赤平愛美。巴平岸」
「はい、言えるの3名ね」
英美の言葉に光は首を傾げる。ツナは席が近いので二人の会話がどうしても聞こえてしまい、驚いていた。自分の苗字しか合ってない挙げ句に殆どの人の名前が言えてない。ツナは光とは少ししか話したことが無かったが、まさかこんなに印象が変わるとは思っていなかったようで目をまんまるくしていた。それに気づいた英美は苦笑した表情を見せ、再び光に視線を戻してゆっくりと口を開く。
「正しくはね。沢田綱吉。笹川京子。黒川花。平岸巴」
「・・・・・・・・・おやすみ」
「寝んな!人に興味を持て!」
「無理」
「即答かよっ!」
光と英美のやり取りを聞いていたツナも最後は、英美と共に突っ込みそうになってしまった。光がどれだけ人に興味を持っていないかが理解できたツナだが、1つだけわからないのがあった。英美は理解できるが他の二人はなぜわかったのだろう。ツナも英美も同じことを考えていたのか、英美が光に問う。
「なんで赤平さんと山本はわかったの?」
「山本は野球部だから」
「・・・野球嫌い?」
野球嫌いと英美に聞かれた光は素直に首を縦にふる。光が野球嫌いな理由は父親が元野球部だった名残が家に沢山あって、野球のボールすら見るのも嫌いなほど。
英美は頷いた光を見てため息をつき、再び聞いた。赤平愛美はなぜ覚えていたのかと。
「苦手だから」
「・・・それだけ?」
「うん。苗字以外は忘れるだろうけど」
そう涼しげな顔で言った光にため息をついた英美だが、3日後にもう一度聞いてみたところ山本と英美以外は覚えてはいなかった。英美は先が思いやられるとため息をついたのだった。