第9章 ある日の出来事
いったい、何が起こったのか私は理解ができなかった。学校が休みの土曜日に、暇潰しのために散歩をしていたのだ。そんなときに沢田の家の近くを通ってしまったのが間違いだったのだろうか。
沢田の声が聞こえた瞬間に何かが目の前にあり、一瞬で目の前に来たソレは避けられるはずもなく。ドカーンという音と共に煙に包まれる。
「な、何が起きて……」
「光?」
私の名を呼ぶ声が聞こえて辺りを見渡してみると、雲雀そっくりな男の人がいて固まってしまう。雲雀そっくりな男の人は驚いた表情をしていたが、雲雀そっくりな優しい表情をして私の頬を撫でる。つい、肩をビクつかせてしまうのは仕方ない。雲雀そっくりな男の人はそんな私を見て笑う。
「あ、の…」
「私は風(フォン)」
雲雀そっくりな男の人の名前は風と言うらしく、雲雀の髪を長くしてみつあみにした感じの人で。呆気にとられていると私の長くない髪を掬い上げ、軽くキスをする。驚いて顔が赤くなるのがわかり、顔をそらすとドタドタと騒がしい足音が聞こえてくる。バンッと大きな音を立て開くドアの方を向くと深くフードを被った人がこちらを見ていた。その姿には見覚えがあり。
「あ、れ?どこかで」
「…光…」
フッと私を見て優しく微笑むフードの人。頬の逆三角形が印象的な人は私の頭を優しく撫でる。この仕草に私は戸惑いが隠せなくなる。どこかで同じようなことをされた気がするけど思い出せない。戸惑ってる私に気づいたのか、フードの人は私の顔を覗き込み微笑む。私の頬を撫でるのは風と同じだけど、嫌という感情はなくて。
「僕はバイパー…もう1つの名が偽名だけどマーモン」
「バイ、パー?」
ズキッと痛くなった頭を押さえるとバイパーは私の手を優しく握り、そっと耳元で呟いた。その言葉に安心したのか急に眠気が襲ってきて。今まで黙っていた風が私に言った。
「眠いなら寝ても構いませんよ」
風が言った次の瞬間には黒スーツの赤ん坊と沢田と山本と獄寺とアフロヘアーの子供が私を見ていた。呆気にとられていた沢田達だが、私に駆け寄り私の顔を見て不思議そうな表情をする。
「何かあったの?顔、赤いけど」
そう言われて顔を隠す。顔が赤い理由が分からない。
"まだなにも知らなくていい"
そう言った彼の顔が忘れられなくて