第6章 転校生
光が学校に早くに着いてしまうのはいつものこと。朝練がない人の中では一番早く、教室に着く光は今日だけはそれを後悔してしまう。
光が席に座り、イラストを描き始めてしばらくすると人の気配が隣からしてそっと隣をみてみると、そこには光の苦手としていた並盛の美女。赤平愛美だった。光は慌てて絵を隠すも完璧に見られていたらしく、笑顔でこちらに話しかけてくる。
「柿澤さんって絵が上手なんだね!羨ましい!!」
愛美の話に作り笑いで答えてしまうのは光の癖である。好きでもない相手に信用のしていない相手に馴れ馴れしく話し掛けられると、作り物の笑顔になってしまうのは人間の性だろう。
光はほとんど愛美の話を聞いていなく、左から右へ愛美の話を次々と流していた。もちろん、そんなことを愛美が気づくわけもなく話を続ける。もう勘弁してと思っていると隣のクラスから来客が訪れた。隣のクラスの男子のようで愛美に気があるようで、愛美は不思議な表情をしながらその男子に着いていくのを光は作り笑いで見送ると、机にふさぎこむ。
「あぁ"~…………うぜぇ」
ポツリと呟いた声は誰かに聞かれるわけでもなく、そのまま消えていった。
英美が来たときに光はようやく復活して、担任の先生が来るのを英美に先程の出来事を小声で愚痴りながら待った