第5章 精神世界
光が目を覚まし、ゆっくりと布団からおりる。すると、目に入った鏡には光の首筋に骸につけられたキスマークがしっかりと残っていた。光は、それを見つけた瞬間にため息をつきながら素早く着替えてキスマークを隠した。こんなものを誰かに見られたら、光は一生引きこもるだろう。ため息をついてると光の部屋の扉を開けた人がいた。
扉を開けた瞬間にその者が光の枕攻撃をくらい、驚いて後ろに転げてしまう。
「おい。クソガキ。テメェ殺すぞ」
「すいませんでしたぁぁぁ姉上ぇぇぇ!!」
「あぁ"?」
光の睨みに脅えて逃げ出したのは光の弟の治広である。治広は光の睨みが苦手で、睨まれるとすぐさま逃げ出してしまうような軟弱者だ。光それに気づいているからこそ、わざとそのようなことをしているのだ。
光はそんな治広を放置して、朝食を食べずにそのまま学校に向かう。光の毎日はいつもこんな感じで、朝は機嫌が悪いときが多い。光が眉間に皺を寄せながら歩いていると目の前に山本の姿が見えてすぐさまUターンして、ある近道から学校へと向かった。
一方その頃、骸はというと。自分が光につけたキスマークを思い出して、怪しく微笑んでいた。そんな骸を目撃してしまった犬と千種は二人で小声で話した。
「骸さん。今、すっげー上機嫌だね。柿ピー」
「そうだな………キモいな」
「うん………」