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先生と私、そして恋。

第1章 プロローグ



録画機能の付いているこのテレビは私にとってはとても有難い。
家にあるテレビはこれよりも小さく録画機能は勿論ない。

母子家庭の私の一人暮らしにそんな贅沢なものがあるはずがない。
一人暮らしが出来ているだけでも良しとしよう。

「最近家帰ってないけど」

家賃がもったいない気がするが、この家に住み着くのもそれはそれで問題になる。
洗濯をするためとバイトがあるときにだけ戻る自分の家は、最初こそいつの間にか汚くなってしまい、掃除する時間もなくそれは悲惨なものだった。

しかし帰りつかなくなった今、私の部屋は掃除をしたまま綺麗に保たれている。

「こっちの部屋の方が居心地がいいんだよなぁ」

部屋が広いと言うのも勿論だと思うし、ソファーや画面が大きなテレビがあるのもその理由だと思う。
学校が近いのも寝ることが好きな私にとっては、ギリギリまで睡眠に時間を当てられるのでとても有難い。

不満と言えば調理器具がないことくらいだ。

録画していたバラエティ番組を流していると、鍵と鍵がカチャカチャとぶつかり合う音と足音が近づいてくる。

いつも耳にする待ち遠しい音。

玄関に目を向けるとその音は案の定、今私がいる部屋の前で止まり鍵穴ぬ鍵が差し込まれた音が大きく響いた。


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