第1章 プロローグ
会社員の仕事とは違い、生徒の為に尽くそうと思えばやらなければならない事は沢山ある。
と、なんでそんなに仕事をするのかと質問した答えに私は何も返す事が出来なかった。
生徒に絶大の指示を集め、常に生徒の為を思って行動する心意気はとても素晴らしいし尊敬に値するが、私の事も考えて欲しいと思ってしまう所は自分が子供な部分だなと反省する。
19歳、初めて長期間続いている恋人。
少しくらい我儘になってもいい気もするが、よくよく考えれば私はいつも我儘を言っている。
なのに文句一つ言わずに時間を作ってくれる彼氏に本当は感謝しなくてはいけないのだろうが、態度に示す事はない。
「…どうせ子供ですよーっだ」
「なんか言った?」
「別に…」
ピザの注文を終えた先生は聞き取れなかった私の言葉を尋ねてきたが、話の方向を変えるとすぐにその話題へと意識が傾いた。
しばらく筋トレを怠っていた先生のお腹は、30歳相当なそれでプニプニとしていて気持ちが良い。
指先でつまんだりつついたりすると止めなさいと笑いながら制止してくる。
「…ぷにぷに」
「すいません。鍛えます…」
苦笑した先生は腕を伸ばすと私の太ももを、同じくプニプニと弄ぶ。
「やっぱり少し太った?」
「うるさいっ」
事実、確かに肉付きの良くなった太ももを庇って睨むとそれくらい肉がついた方が良いよと言われるが、最近気になっていた所を指摘されて何とも言えない気持ちになってしまった。