第9章 儚い虹
そんな思いが残酷に突き刺さる中
櫻井先生はカバンから
ある物を取り出した。
今度はハガキじゃなくて
一枚のDVDだった。
「 が残したビデオです。
これだけは直接渡したくて 」
「 先生が持っとくべきでしょ... 」
先生は静かに首を横に振った。
涙を拭き取って颯爽と立ち上がり
玄関へと足を進める。
私を1人にしたほうがいい
と思ったらしい。
ありがたい、私もそう思う。
「 わざわざ教えてくれて
ありがとうございました... 」
「 明日のの葬式...
... 来てやってください 」
一礼して去って行った
先生の後ろ姿には
悲しみが浮かび上がって見えた。
それが見えると同時に
家の中には沈黙が広がる。
『 ずっと一緒にいた親友が
いなくなったからって
死んだりなんかしないでよ〜?』
どこからか現れた声。
こういうときに限って
記憶力が発揮されるんだ。
ふざけんなよ。
こう言った時だって
は病気と闘ってた。
記憶だって戻ってた。
俺は何も知らないまま
何て答えたっけな。
『 そんなことしませんよ。
私の中のあなたなんて
ほんの3%だから 』
馬鹿みたい。
今となっては冗談にもならない。
自分を嘲笑うような声が出た。
一気に事実が降りかかる。
廊下の壁にもたれ掛かり
拳を強く握りしめた。
「 なんでだよ... 」
また悲しみが目尻を熱くする。