第9章 儚い虹
あれから何が変わった?
が最後に家に来てから。
髪も切ったし
体重は... まあまあか。
って何の話してんだか。
ただ気持ちは何も変わってない。
これだけはどうしようもなかった。
諦めるって決めたのに
があんな去り方するから。
いや、あんな去り方じゃなくたって
記憶が戻ったって知らなくたって
たぶん諦めれてなかった気がする。
ピンポーン
家のチャイムが鳴る度に
だと期待してしまう自分は
当分前にいなくなった。
何気なくドアを開ける。
そんなことを思ってた途端に
関わりのある人がやってくる。
なんだよこれ出来過ぎだろ。
「 どうも... 」
きちんとしたスーツを着た櫻井先生。
正反対にスウェットの俺。
こうも差が出ちゃいますかね。
後ろを覗き見してみても
の姿はない。
櫻井先生ひとりだけだ。
「 おひさしぶりです 」
にしても何の用?
の記憶が
戻ったのは知ってるし。
・・・あの夜のことがバレた?
しか考えられないよね。
メスで殺されますかね?
逃げた方がいいですかね?
「 突然すみません 」
生気を失ってんじゃないか
って思うくらい
抑揚のない声で話す先生。
こんな人だったっけ?
「 とりあえず中どうぞ 」
ただの勘だけど
あの夜のことは関係ない気がした。
先生の雰囲気というか何かが。
これ以上は踏み入っちゃいけないって
頭に中の自分が何かを察知してる。
「 適当に座ってください。
何か飲みますか?コーヒーとか 」
「 いえ、お気遣いなく。
二宮さんにお伝えしないと
いけないことがあって 」
離婚、なんてフレーズが出てきた私は
どこまで自分勝手で都合が良くて
最低なんだって自分でも思う。