第6章 新しい君
これが選んだことだった。
友達として側にいる。
が他の誰かと
幸せになってくれればいいと。
と『友達』になってから
が離れてしまうまで
そう長くはかからなかった。
悲しいほどすぐだった。
数ヶ月の入院生活の中で
あの人に惹きつけられて
二人は付き合ってた。
二人とも私の気持ちは知らないから。
「 全然好きって言ってくれないの 」
クッションを抱きしめたまま
そう唸る。
そう、見事に私は
恋の相談相手ってわけ。
好きって言わないなんて
まるで付き合ってた頃の
私みたいだった。
あの頃もはこうやって
誰かに愚痴ってたんだろうか。
今でもこうやって思うのは
記憶も気持ちも
忘れられてない証拠。
「 口に出さないだけで
ただ言えないだけ... 」
あの時だって
いつもそう思ってたんだ。
あの時言えてなかった好きという
数々の言葉はもう行き場を失った。
今だってそうだ。
自分の気持ち何も言えないで
こうやって親友という立場でしか
の隣にいれなかった。
「 本当は大好きだから... 」
あの時だって...
今だって... 誰よりも...
「 和也...?」
「 何でもない 」
何自分のことのように話してんだ。
私のことじゃないっつうのに。
「 患者な訳だし
言いにくいんじゃないの?
暗い顔なんかする前に
早く治して退院しなさい!」
うん!と微笑む彼女が
胸が痛いほど愛おしかった。
この胸の痛さに慣れてくる
自分が一番怖かった。
「 てかさ、入院長くない?
もう怪我ほとんど治ってるのにさ 」
「 そう...?こんなもんじゃない?」
白々しい顔をする。
怪しいったらありゃしない。
病棟だって内科に変わったし。
「 先生に会いたいからって
わざと伸ばしてんじゃねえの?」
「 違うってば!」
私は何も分かっていなかった。
側にいるって決めて
ずっと側にいたっていうのに
彼女の辛さも不安も
何も分かっていなかった。
いつも自分のことばかりで。
あと1年と6ヶ月...