第1章 いつものきみ
いつもそう。
拗ねるとは
「 コンビニ行ってくる 」
と言って家を出て行く。
拗ねさせてる原因は
自分だって分かってる。
なのにそう気づくのは
彼女が行ってしまってから。
「 ... ごめん 」
彼女のいない部屋に囁いた。
彼女に伝えなきゃ意味はないのに。
財布とスマホを手にとって...
ってスマホがないんだけど。
まあ、いっか。
「 迎え行きますかね 」
コンビニに行くって言うけど
本当は近くの公園のブランコで
時間を潰してるって知ってる。
すぐ近くのコンビニに行っただけで
あんなに時間かかるわけないし。
今日はその公園に先に行って
彼女を待ち伏せしてやろう。
「 ... おっそい 」
ブランコに乗ってどれだけ待ったか。
もはやブランコのプロになるわ。
私がただ長く感じてるだけなのか。
いや、やっぱり結構経ってる。
夕日が私の影を伸ばしていくから。
「 あ、来た 」
静かな公園に彼女の影が現れた。
私の姿を見つけた彼女は
遠くから見ても面白いほど
びっくりした顔をしている。
「 な、なんでっ 」
そう言ったかと思うと
そっぽを向いて口を尖らせる。
まだ拗ねてる証拠。
「 ごめんね 」
「 ... じゃあこっちに来てよ 」
お互いに自分の要求を
ばしばしと言う方じゃない。
だから、彼女の要望が
嬉しかったりする。
「 ごめん 」
もう一度彼女に謝って
そっと抱きしめた。
ふたつの影がひとつになる。
「 その謝り方はずるい 」
「 なんで?」
「 分かってるくせに... 」
うん、分かってる。
抱きしめられると
あなたは落ち着くんだって。
私を許してくれるって。