第2章 ヒトメボレ
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「生クリーム苺チョコブラウニーで」
「またそれ?飽きねーの?」
「飽きない!だって生クリームの甘さと苺の酸っぱさとチョコブラウニーのほのかな苦味…最高だね」
「おぇ」
「そんなに甘くないよ!?」
「生クリームっつー単語が無理」
どんだけ甘いの嫌いなの…
『3番でお待ちのお客様ー』
「あっ、はい」
『生クリーム苺チョコブラウニーです、どうぞ』
「ほわぁぁぁ…♡」
手に取った瞬間ずしりと重みを感じる。
この中いっぱいに詰まった生クリームと苺とチョコブラウニー…
考えただけでよだれがでそうになる。
そして何より――
「んむっ…生地さくもちぃぃ♡」
もちっとしているのに外がさくっとしている不思議な食感の生地は全国探してもきっとここだけだ。
「ほんと美味そーに食うよな」
「だってほんとに美味しいんだもーん♡」
息をする暇もないくらい急いで食べる。
味わって食べるより感じて食べる方が美味しい気がするからだ。
「んっ…おいひい♡」
「クリームまみれ」
「あっ…」
恥ずかしそうに口を隠すが、
その口についたクリームさえも絵になる美しさだった。
「桜ちゃん、手洗ってきていい?」
「おう」
私はトイレへと駆け出した。