第2章 ヒトメボレ
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「…ん」
口の周りのクリームと手についたクリームを丁寧に洗い、ふと気づいた。
「…あれ?」
ポケットの中を探る。
カバンの中も見る。
「ない…?」
ハンカチがないのだ。
「嘘…」
お気に入りの。
綺麗な無地の白色に『yuri』と刺繍された――
「桜ちゃんの手作りのハンカチなのに…」
大切な人が作った、大切なハンカチ。
なくしたと知ったとたん目が熱くなる。
なくした。
桜ちゃんから貰った大切なハンカチ。
「最低だ…」
ポツリと呟いて百合の足は自然と動いていた。
見つけなきゃ。
探さなきゃ。