第2章 ヒトメボレ
「…っ」
目がさらに熱くなる。
視界が濡れる。
…見つからない。
「…ぅ…」
「…百合?」
気がついたら桜の元にいた。
「桜ちゃん…から…も…らっ…た…ハン、カチ……なくしちゃ…った…ぁ…」
口が下へ下へと下がっていく。
ただただ悲しかった。
「なんだ、そんな事か?弱っちいな、百合は」
「ぞんなごどなんがじゃないよ」
「はいはい、鼻かめって」
ティッシュを差し出してふわり、笑う。
「ざぐらぢゃん…ぼれぢゃうよ…」
「何言ってるか分かんねぇ、鼻かめ」
「ちーん!」
鼻をかんだらなんだか少しすっきりした気がした。