第6章 弟と私と弟(仮)
「あの、ちょ、確かに私を作ってくれた方は皆さんと一緒ですがなんていうか、気持ち的にはほら私って父上的な存在の人が遊びでつくった子みたいな感じじゃないですか!だから皆さんとはべつに兄弟なんかではな…………っ!!!」
な、泣いてる!?
なんか虎連れた子が泣いてる!?
「花房姉、花房姉も僕らの大切な家族です!だからそんな悲しいこと言わないでください」
なんかごりごり良心削ってきたああああ!!
「ごめんなさい泣かせるつもりは少しもなかったんです!!!!」
とりあえずその場で土下座。ショタに全力で土下座する女の画ってどうなの?ちょっと見苦しすぎない?とは思うけれど如何せん、接し方がいまいちわからんのだ。
「ぅ、じゃあ、じゃああの」
「んん!!どうしたの!?泣きやんでくれるなら今は何でもしちゃうよ」
「じゃあ僕らのこと弟だってちゃんと言ってください」
それとこれとは別だよね?
前言撤回申し訳ないです。
えぐえぐ涙ぐむショタを前に今度は私が泣きそうだわ。だってそもそも兄弟ってなんだ?私たち今まで一回も会ったことなかったじゃないですか。どちらかと言うと兄弟っていうなら光忠や大倶利伽羅とかこの際鶴丸とかの付き合いがある方じゃないの?
「わ、私、貴方たちと兄弟と胸を張れるような誇れる刀剣ではないんです」
「……?なにをおっしゃいます、花房姉は確か二人目の持ち主となった主を無名から成り上がらせた出世刀として有名ですよ。十分立派な刀剣です」
「なにそれどこ情報!?てか二人目の主って……あの名付け親か!マジであいつよけいなことしか私に与えてくれねえわ!!」
こんなところまできて私を苦しめるとはますます嫌いになったぞ貴様ァ!!そういやあいつ上司である政宗さんに「この刀持った途端、運が舞い込んできたしいっそ出世刀とか言ってみますかな?なんつってー!」とかバカみたいなこと言ってたわ!まさか本当に世間にそう出回るとは本人も思ってみなかっただろうけどそんなの関係ねえ。やっぱり全部お前が原因じゃねえかふざけんな!!
「あの、ちょっとお話中いいかな?」
考え込む中、短刀たちに花房姉コールをされている私に救いの声が掛かる。
私は信じてたよ、光忠!
お前は絶対に助けに来てくれるって!