第15章 甘酒、干柿、減らず口
「ゴールデンウィーク」
「5月と言っていいでしょうね」
「子供の日」
「皐月の5日」
「クリスマスは?」
「12月25日・・・」
「年越し」
「師走の晦日でしょう?」
「エイプリルフール」
「4月1日」
「灌仏会」
「卯月の8日」
「ジューンブライト」
「6月の花嫁?」
「入梅の月は?」
「大体水無月でしょうねえ・・・」
「何なんですか、あなたのその月日認識のバラつきは。和月名が滅茶苦茶に入り込んで・・・・・・いや・・・・」
「何です?」
「バレンタイン」
「・・・・2月14日」
「今日は?」
「弥生の14日」
「ホワイトデー」
「3月14日・・・・ああ、これ、甘酒のお返しですか?成る程!」
「どういうややこしい認識の下で暮らしているんですか、あなたは。どこまで面倒に出来てるんです?どうにもこうにも付き合い辛い・・・」
「あはは、甘酒のお返しに干柿ですか。早くも共白髪の感ありですねえ。面白い事をなされる」
「間抜けなあなたがそこまで生きていればそれも悪くないでしょうがね。先ず無理でしょう。あなたのバカと間抜けは疑いようもなく宿主の寿命を縮めていますよ」
「・・・また厭な感じに返してきますねえ・・・」
「おや、厭な気分になりましたか?それは良かった。さあ早く食べなさい」
「・・・・・フと思ったんですけどね?」
「何ですか」
「甘酒のお返しという事は、まさかこの干柿、何らかの病原菌に侵されちゃないでしょうね?あの後干柿さんどエラい風邪をお引きになりましたよね?お返しはお返しでもそっちの方のお返しなんて事・・・ァブブッ、く、くひびるふぉひっはらないでくだはいッ、いひゃい!」
「下らない事を言わない!私はそんな姑息な真似をする程暇でもなければバカでもありません。その気があるならお返しだの何だのゴチャゴチャ言ってる間にさっさとあなたの息の根を止めますよ。見損なわないで頂きたいですね」
「はだだ・・・・・はあ、それは何よりです・・・今の干柿さんにもやってみていいですかね?存外ダメージがデカイですよ?」
「死にたいんですか?」
「・・・・どうも不公平な気がする・・・」
「慣れなさい」
「慣れましたよ。しかし慣れりゃ悟りが開くってモンでもありません。ちゃんとその都度ムカッとするんですよ」
「ああ、それは大事な事です。ムッとしてもくれないんじゃ面白くも何ともありませんからね」