第14章 梅一輪 一輪ほどの あたたかさ ーシカマルー
いいだろ。
バカで見栄張りで仲間思い友達思いの幼馴染みと、賢くてバカ強くて姿勢が綺麗で笑顔にぐっとくる元敵方の女が肩並べてたってよ。
どうせ俺ン中だけの事なんだから。
ふぅいと息を吐いて後ろ手を着き、空を仰いだシカマルは伸び伸びと笑みを浮かべた。
・・・・春だな・・
フと、その耳にカサリと誰かの立てた足音が届く。
シカマルは仰向けた顔を起こして、音の方を見やった。
白梅が、戯れ会う女子のように邪気なく花を寄せあっている。
・・・・その陰。
誰だ?
眉根を寄せたシカマルは、やがてフと苦笑した。
何だよ、ヤベエなオイ。
白梅の陰から笑い顔が現れる。
胸がトンと鳴った。
お前かよ。どうした?
再びの春一番が、一片の白梅と共に、サァッと空に舞い上がる。
花曇りの空に白梅が、ヒラヒラと高く広々と雲に混じって見えなくなった。