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閑話休題?ーNARUTOー

第3章 雑談ー角都、サソリー


サソリは本が嫌いだ。
幼い頃、読むことを強要され過ぎたせいだと本人は言う。

角都は本が好きだ。
一度手に入れてしまえば何度でも無料で読み返せるし、大切に扱っていれば時にどえらく値が上がる事まである。
そういう点も含めて古書などにはいわく言い難いロマンを感じるらしい。

「宮澤賢治は神に守られていたな。あの破戒男と同郷で、なお悪い事に卒業在校の壁はあれど同校に学ぶというニアミスをしていながら、奇跡的に迷惑をかけられていない。在郷でも屈指の資産家の息子というカモがネギどころか包丁からまな板からナベから出汁から箸に取り皿、白飯までしょいこんだようなキラキラしい立場でありながら、あの悪魔のような男の歯牙にかからずにすむとは、神憑りとしか言いようがないぞ」

「デクノボーは色々抱え込んで手一杯だったからな。万年反抗期にシスコン、金持ち生まれって事への呑気な罪悪感に選民意識、貧乏人に施しをしながら趣味に無駄遣い、田舎に引っ越して百姓になろうってのに、家にツルバラ這わせて誰も食わねえ買わねえアスパラやらトマトやらチャラチャラしたモン作って、東京から取り寄せたお高ぇクラシックレコードを聴く。んな百姓があの時代いる訳ねえ。自己否定と自己肯定でパツンパツンだ。自意識過剰なヤツは自意識過剰なヤツが嫌ェだ。だから貧乏な贅沢好きは金持ちの貧乏好きに近寄りゃしなかったんじゃねえか」

「デクノボーは生前日の目を見なかったしな。児童向けらしからぬと赤い鳥に原稿を突っぱねられている。まあ無理もない。デクノボーの作品には拭いきれぬ陰鬱さがある。本人が鬱々とした己の現実を作品にぶつけているのだから当然の帰結だ。むしろ何を思って赤い鳥なぞに売り込みに行ったのかと突っ込みたくなる。遊興好きな悪魔には近寄り辛い相手だったかも知れん」

「金田一がいたからな。人柄のいい金持ちのインテリ、いい食いモンだったろ。何も田舎でぐちゃぐちゃ悩んでるお宅気質のメンドくせぇ宗教家に拘うこたァねえよ」

「凄い言われようですねえ。お二人は宮澤賢治も石川啄木もお嫌いですか」

「急に出て来たな、牡蠣殻。宮澤賢治は嫌いとは言わない。煩わしくはあるが彼の遺したフィーリングで地場産業がどれだけの利益を上げているかと思えば、むしろときめきさえ覚える。しかし石川啄木は駄目だ。あれは悪魔だ」

「ぷ・・・悪魔・・」



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