第10章 雪合戦ーサソリ、飛段、デイダラ、小南ー
「・・・おい、落武者か、こら?」
牡蠣殻は無言でコクリと頷くと、懐から細い小枝と赤の絵の具を取り出した。
「・・・・・」
プスリと落武者ダルマの頭に小枝を刺すと絵の具でチョンと彩色する。無言のままサソリに頷いて見せると、牡蠣殻はキビスを返して足早に立ち去った。
「・・・・何の真似だ、おい。・・・ちょ、何か凄ェ目障りだ。・・・・・・・退けろ、これええェェ!!!目ェ合いっぱなしで気まずいんですけどおおォォ!?」
「・・・・・・・」
また誰か来た。
「・・・あン?小南?何だ、助けに来たのかよ?あ?」
「・・・・・・・」
小南はサソリの傍らに膝をついて、お盆に載せた湯気の立つ漆椀を落武者ダルマの横にソッと置いた。
「・・・・汁粉かよ。何なんだ、オメエらは?俺ァ食えねえってさんざっぱら言ってンよな?待てコラ、どこへ行く。汁粉なんか要らねえから何とかしろ、俺を!」
「・・・・・・」
小南は振り返って無言でサソリの傍らに戻り、懐に手を差し入れた。
割り箸が現れた。
小南はサソリの目を見て力強く頷くと、ダルマの前に割り箸を置いた。
「・・・・おいコラ、ちょっと待て」
小南は立ち上がると、今度は振り返る事なく立ち去った。
「おいィィ!!!!!」
サソリとカチカチに凍った汁粉がペインによって救出されたのは翌日の事、落武者ダルマは未だ雪を被りながらアジトの庭で落武シャンしている。
どっとはらい。