第45章 初仕事 ー飛段、角都ー
「黙れ」
「いやいやいや、俺ンことを好きだってのは馬鹿馬鹿しいことかよ。仮にも相棒相手にそりゃねえぜ、角都ぅ」
「お前は俺が好きか?」
「はっはっは-」
「はっはっは-?」
「馬鹿なこと聞くなよ。金目当てにヤなことばっかり強要してくる爺ィなんか好きになれるわけだろぉ?」
「腹立つな」
「俺だって立つわ」
「何でお前が腹を立てるんだ」
「何でって、何でそんなこと聞けるんだかなぁ。好きかどうか聞いたら馬鹿呼ばわりされて死ねだぜ?普通に腹立つんじゃねえの、そりゃ」
「お前が馬鹿なのはわかりきったことだろう。今更何を言い出すんだ」
「…ちょっとちょっとおじいちゃん…」
「死ねと言ったところで死ぬお前ではないし」
「それだって言われたくねえよ、新年早々死ねとかよぉ」
「来月なら構わないか」
「…馬鹿はおめえなんじゃねえのか、角都」
「新年早々は嫌だと今が今自分で言ったくせに何故俺を馬鹿呼ばわりするか、この馬鹿め」
「誰がバレンタインになら死ねって言われてもいいって言ったよ。耄碌してんじゃねえぞ、角都」
「俺はバレンタインの話などしていないぞ、馬鹿」
「二月ったらバレンタインじゃねえかよ!いちいち馬鹿馬鹿言うんじゃねえ、爺ィ!」
「来月といったところで短気な俺が中旬まで待つとでも思うか。殺るなら節分だ。それ以上は待たん」
「待て待て待て。決定事項みてえに話すんじゃねえ。別に来月なら殺られてもいいなんて俺はひとッ言も言ってねえからな」
「そうだったか?」
「…ちょっとちょっとちょっとちょっとおじいちゃん…」
「まあ何だっていいだろう…。どうせ簡単には死なないのだからな、お前という残念な馬鹿は…」
「…投げ遣りな顔で人を見るんじゃねえよ、このクソ爺ィ」
「クソ爺ィ?よくもそんな酷い事を言うものだな…」
「決め台詞みてえに語尾に馬鹿馬鹿つけてくるヤツに言われたかねえなぁ」
「馬鹿め。俺の決め台詞は金だ」
「馬鹿はてめえだ、馬鹿。決め台詞が金ってどうやって決めんだよ、そんな台詞をよ?」
「俺が口にすれば決まるに決まっている。何しろこの世で俺以上に金を愛している者などいる筈もないからな金」
「…おい。年末年始に何か悪ィもんでも食ったかよ?いくら角都でもおかしいぞ」
「いくら俺でも?俺がいくらだと言うんだ?安くはないぞ金」