第37章 メンドくせぇー路地裏イチャイチャinシカマル&いのー
「一楽のラーメンな」
「一楽ぅ?まあいいか。じゃ餃子と炒飯つけるから」
「…つけるからじゃねぇだろ、このヤロウ」
渋い顔をしたシカマルに、いのが白い歯を見せて笑った。
「ありがと、シカマル」
……メンドくせぇヤツ。
両手を脚衣の隠しに突っ込んで、シカマルはますます渋い顔をする。
…いや、ちょっと待て。メンドくせぇのはもしかして俺じゃねぇのか?
臭くて汚い路地裏に、まだ居たい自分が居る。珍しく泣いた、可愛いいのと一緒に。
「あー、メンドくせぇ!」
うつむき加減に頭を掻いて、シカマルは歯噛みした。
「何が?」
「俺がだよ」
「何言ってんの。アンタ大丈夫?熱でもあんの?」
「止めろ、触んな!ますます面倒になる」
「はぁ?」
変な顔でこっちを見るいのが見辛いのは、逆光が眩しいせいだ。深い意味なんかありゃしねぇ。
シカマルは口をひん曲げていのの肩を押した。
「行くぞバカ。もう泣くなよ」
花と洗髪料。いのの匂い。
シカマルは首を振って路地裏を出た。隣でいのがまた笑う。通りの明るい日が射して、涙の名残りでまだ少し潤んでいる碧の目が濃く強気に光った。
「誰が泣いたって?」
バカでもねぇし可愛くなくもねぇ。
……クソ。メンドくせぇヤツ……。