第37章 メンドくせぇー路地裏イチャイチャinシカマル&いのー
秋口の長閑な昼飯時、飲食店の連なる通りをシカマルといのはぶらぶら歩いていた。
何処で飯にするかという他愛ない会話を交わすうち、不意にいのが物凄い力でシカマルを突き飛ばした。
「な…、何だ何だ、何しやが…ッふぐ…ッ」
路地裏にすっ飛ばされて尻餅をついたシカマルの上に、ドカンといのがのし掛かる。
「ちょっと黙って!」
シカマルの口と、ついでに勢い余って鼻までぎっちり押さえ付け、いのがしーッと指を立てる。
「くっそ、何処行った、いののヤツ!絶対許さない!」
いのの肩越しに見える通りを、肩を怒らせたサクラが行く。
「見つけたらただじゃすまさないから!」
路地裏の壁に切り取られた狭い景色の中からすぐにサクラは消え、次いでおろおろしたヒナタが現れる。
「そんなに怒らなくても…。いのが持って行ったって決まった訳じゃ…」
シカマルがもの問いたげにチラリといのを見たその間に、ヒナタの姿も見えなくなる。
「いーや、いのだ。絶対いのだ。サスケくんのブロマイドを持ってくなんてアイツの他に…」
「いっぱいいそうだよね?…ブロマイド…だったんだ、あれ。隠し撮りしたただの写真かと思ってた…」
「隠し撮りしたブロマイドなの!」
「そ…そう?そこはちょっと私にはよくわからないけど、でもやっぱりいのが持って行ったとは限らな…」
「いーや、いのだ!絶対いのだ!間違いなくいの!いのったらいの!いのに決まってる!いのいのいの!いのは何処だぁあ!」
「…ナマハゲ…?」
言い交わす声も次第に小さくなる。目からも耳からもサクラとヒナタがフェードアウトした頃合いに、いのはやっとシカマルを押さえていた手を離した。
「…おいコラ」
地べたに後ろ手をついてシカマルが荒い息を吐く。危うく窒息しかけた。とんでもないとばっちりだ。
「持ってんのか、サスケの隠し撮り?」
「…持ってなくもない気がする」
「…バカか、オメーは」
「仕方ないじゃん!サクラが自慢しすぎなんだよ!」
「自慢しすぎか何か知らねぇけど、どう考えたってオメーがバカだ」
「…バカじゃないわよ。泥棒よ…」
「わかってんならさっさと返して来い。そんなもん持ったまんま食う飯なんか不味くてしょうがねぇぞ」
「フン。丁度いいわよ。アタシダイエット中ぁだ…ッ!いったー!!!ちょっと何よ!何でデコピンなんか…ッ」