第30章 White November ーデイダラ、角都ー
「うるせぇな。アタシはランボルギーニかメルセデスのSクラスみたようモンでさ。いい女にゃ色々手がかかんデスよ」
「食費がかかるの間違いだろ…」
「かかるな、食費も」
「ランボルギーニやメルセデスどこの話じゃねえ。テメエは帰りの燃料も行きで食い切っちまうロケットだ。金ぽっちゃり将軍に見送られて平壌から片道一方の宇宙航路に旅立ちやがれ。何なら大気圏突入前に燃料食い尽くして落ちて来んじゃねえのか?カリアゲくんに処されるぞ、テメエ。ザマァみろ」
「うるせぇな。オメェもあんまパンパンパンパン花火上げてっと、そのうちイスイス団にスカウトされて国際手配されんだからな…て、もうビンゴブックに殿堂入りしてましたっけ、アナタ?あーあー、ここでも手遅れかよ。つくづく残念なヤツだなー、オメェはよー。あーッ、腹減った!雪掻きなんかすんじゃなかったな!ちょっとテメエをからかってやっかなんて仏心おこしたりして失敗したわ!」
「…それ仏心じゃねぇぞ。うん」
「何だっていいわ。腹減った。朝飯は?」
「図々しいなオメェはよ。けどまあ今日は締り屋の角都が台所主だからな。なーんもねぇと思うぜ。キレーにサーッパリ片付けられてら。残念だったな」
「嬉しそうだね、ドデンダラくん。仕方ないからやっぱりキミを食べようか」
「…しゃがみ込んで下から睨むの止めろよ。見えないヤツには見えないモンみたいに思われるぞ、うん?」
「王様とオメェの服とか美意識の話か?」
「ばッ、違うわ!幽霊とかそういうヤツの話…」
「何だ、どっちみちねぇモンの話かじゃねえかよ。くっだらねぇ」
「オイラの美意識を露出狂の見えない服や幽霊と一緒にすんな!」
「てんで一緒だろ」
「そりゃ羆とテメエの話だ!」
「アタシと羆を一緒にすんな!捕食と被食をごったごたにすんじゃねえ!腹減った!」
「…世間一般じゃ捕食と被食が逆かも知んねえとは思わねえのか?オメェはマタギかアイヌなのか?想像以上にたくましいじゃねぇか、うん?」
「何だよ、そんなに金神の話がしてぇのか。さてはオメェ、金神でポストシータを見っけたな?ん?」
「うん?そこまでじゃねぇけど…ちょっといいよな」
「だろうな。あの眉毛とかな!オメェの好みにピッタリだもんな。オメェにゃちっと勿体ねぇけど、まあお似合いだぜ、良かったな!光源氏!」
「あ?」
「何だよ」