第28章 ずーっと一緒だ、ドキンちゃん。
「…何でアンパン見て泣いてるんですか、牡蠣殻さん」
「…はひ?あら、干柿さん、何ですか?」
「…何ですかも何も…鼻垂れてますよ?」
「ああー…」
牡蠣殻は鼻をすすって、涙を拭った。
「お腹が空きました。何か食べたいです、干柿さん」
「は?何言ってるんです。子供じゃあるまいし、自分で何か支度しなさい」
「イヤです。お腹が空きました。何か食べさせて下さい」
珍しい事を言い張る牡蠣殻に、鬼鮫は眉根を寄せた。
「何なんですか、珍しい」
「そういう気分なんです」
鼻声で言って、牡蠣殻はテレビを消した。
「…ワガママな気分と、そういう事ですか」
「はい。物凄く、そういう気分です」
ぐいぐい目を拭って、牡蠣殻はにっと笑った。
「凄く凄く、そういう気分なんです」
またね。
ずーっと一緒。
大好きだよ。