第28章 ずーっと一緒だ、ドキンちゃん。
「あんまり急なんでビックリしましたよ。泣いてるんじゃないですか、彼」
「バッカねー。泣かないわよ。アタシ、泣かせるコトしてなんかしてないもーん」
「泣かせてると思いますよ。泣かせたりしないって言うなら、置いてきぼりにしちゃいけません」
「置いてきぼり?えー、ばいきんまんがいなかったら不便になっちゃうじゃない。そんなコトしないわよー」
「ドキンちゃん。でも、あなたもう…」
「何よ。文句ある?」
「いやいやいや、文句とかじゃなくて」
「しょうがないじゃない。ずーっと一緒だったんだし」
「ずーっと一緒でしたね」
「アタシ、人が泣いてんのってうるさいからキライなのよね」
「あはは。ドキンちゃんですねえ」
「何それ。何かムカつく」
「あなたが好きってコトですよ。皆みんなそうですよ」
「当たり前じゃない。アタシカワイイし、いいコだもん」
ツンと顎を上げて後ろで手を組み、青緑色の大きな目でこっちをうかがうあなたは確かにとっても可愛くて、私はこんなにあなたが好きだなんて思ってもみなかったから彼の事が心配です。
私でもこんなに寂しいのに、いつも一緒だった彼はどれだけ寂しいだろう。どんなにひとりぼっちだろう。
「…ンもう!何て顔してんのよ、心配し過ぎ!バッカみたい!」
しょうがなさそうに頭の上にポンとのった手が思っていたより柔らかくてあったかくて、泣けてしまう。
「アンタがメソメソしてどうすんのよ!これからもずーっと一緒なんだから!アタシがいなくなるワケないでしょ?ずーっと一緒よ!泣くの止めなさいよ!メンドくさいわね、もー!」
鼻をすすってソッポを向いたあなたが、シッポを振り振り背中を向けた。
「もう行くわよ!アタシ、お腹すいっちゃった。アンタもうちに帰んなさいよ」
彼のところへ行くんですね。
ちょっと照れくさそうで、大体面倒くさそうなところが笑えます。ドキンちゃんだぁ。
彼によろしく言って下さい。ずーっと一緒だよって、伝えてあげて下さい。
「じゃ、またね!」
はい。また。
また会いましょう。