第26章 世界禁煙デー
「だってどうせ生殺与奪がどうのこうのって、そういう話に落ち着くんでしょう?息の根を止めるのは私だとか甚振る楽しみがどうとか、貴方こそホンットどうにかなりませんか、そういうところ」
「何だ、わかってるじゃないですか」
「わかってますよ。私は貴方が好きだから諦めてるんです。貴方も出来る事なら諦めて下さい。諦められないなら少なくとも黙って下さい」
「…ほう。いっぱしの口をききますね」
「言うときは言いますよ、私だって…ちょっと何ですか、干柿さん」
「何って何が?」
「あッ、止めろ!何をする!?」
「禁煙デーですからね。煙草を吸わずにすむ事をするんですよ、勿論」
「ばっ、止め!世界の意図を読み違えてますよ、貴方!」
「知りませんよ。世界が何だって私には関係ありませんからね」
「…なら始めから禁煙デーなんか関係ないじゃないですか…」
「ちゃんと聞いてなかったんですか?世界なんかは兎も角、私が決めたらそれは絶対なんですよ」
「…アンタどんだけ…、あッ、止めろ、止めなさい!うぅわ…うわわッ」
「楽しいですねえ、牡蠣殻さん?」
「楽しいのは貴方だけですよ!わかりました!吸わない!吸いませんから勘弁して下さい!」
「ふ。吸おうったって吸えないでしょう。今更遅いんですよ、馬鹿ですねぇ」
「すいません!吸いません!許して下さい!」
「素直に謝るのは感心な事です。まあだからって何がどうなる訳じゃありませんがね。諦めなさい」
本日5月31日は世界禁煙デー。
喫煙は節度を持って程々に。