第24章 Deep trouble valentine.ーデイダラー
暖冬と思わせていきなり寒波の大波が押し寄せた如月半ばの、昼下がり。
「さっみーさみィ、あったま来んなッ」
「ニコニコしながら何吐かしやがんだ、うん?」
「うふふふふふふ。何とでも言えばいいデスよ」
「…何だよ、気味悪ィな。何企んでやがる」
「バッカ、今日企まねえで何時企むんだって事を企んでんに決まってんじゃんか。今日はバレンタインデーですよ!?ホントこれだからモテない男はしょうがねえよな!生姜抜きの生姜焼きくれェしょーがねえ!わはははは!」
「しょうがねえのはオメェだバカ。下らねえオヤジギャグが言いてえなら旦那ンとこ行け。どっかそこらへんでやさぐれながら人形遊びしてっから、笑わせてやれよ、うん」
「わかってねえな!オヤジギャグは厭がるヤツに無理に聞かせんのが醍醐味なんだぞ?どっか行って欲しかったら心からの笑顔を見せてみろ!さあ!」
「…さあじゃねえよ。ホンットうるせえな、オメェってヤツは。うん」
「またまた。アタシをシータだと思ってみ?どうだ?微笑みたくなるだろ?」
「ふざけんなこのイモ!オヤジギャグ抜かしてゲタゲタ笑うシータなんかどっこの世界にもいねんだよ!てかテメェがシータとか言うな!腹立つ!それだけでシータがオメェに汚染されるみてェですっげーヤだぞ!?」
「じゃパズーの話でもすっか?」
「止めろ。もっと腹立つ」
「今日なんかいーい雰囲気で盛り上がってんじゃねえの。ねえパズー、良かったらこれ食べて。え、ありがとう!シータ!うはははは!」
「うるせえ!シータはバレンタインにチョコなんて浮ついた真似しねんだよ!今日はシチューだ、シチュー!」
「ほー。シータってアレか、シチューしか作れねえの?」
「ばッ、てッ、ちょ…ッ、ざ、ざけんな!?シータは何だって作れんだぞ!?土井先生も小林カツ代もビックリの料理上手なんだからな、うん!?」
「フーン。グッチ裕三とどっちがすげぇ?」
「何でグッチ裕三が出てくんだ!?テメェわざとだろ!?シータを物笑いの種にしようとしてんな!?ぶっ飛ばすぞゴラ!!」
「何よ、グッチの何が悪ィのよ?料理上手なイケメンじゃんよ」
「ならグッチにチョコやりゃいいだろ!?いいからグッチはテメェの腹ン中に仕舞っとけ!出すな、表に!並べんな!シータと!!」