第3章 雑談ー角都、サソリー
「サソリの電気グルーヴ」
「だははッ!まさかのオラフ!ええ!?テクノ?」
「コイツはアニソンもいけるがテクノ好きだ」
「意外ですねえ。ありのままの姿見せられても困惑する一方です」
「やかましい。人の趣味に口を出すな。ぶっ殺すぞ。あ?」
「口なんか出してませんよ。電気グルーヴいいですよね。いいですよ」
「ポポを熱唱するサソリ・・・」
「・・・ぶっ、いや、いい!いいじゃないですか」
「・・・テメエに言われてもバカにされてる気しかしねえ」
「それは考えすぎですよ。私、サソリさんを馬鹿にした事などありませんよ」
「そう言われる事自体バカにされてる気がすんだよ。オメエってヤツはいんだけでムカつくわ」
「真っ向から全否定ですか。何なんですかね、このサソリさんと干柿さんのシンクロ率は。ソウルメイトですかね、お二人」
「誰が誰のソウルメイトですって?」
「あ、ジャニス・ジョプリンだ」
「・・・・また訳のわからない事を・・・一体何の話です?」
「そう言えば何の話だったかな・・・覚えているか、サソリ」
「自分で思い出しやがれ。使わねェとボケるぞ、頭がよ、角都。それよりとっととそこのバカ連れてけ、鬼鮫。どっかにしまって鍵かけて二度と出すな」
「はあ?また何かやらかしましたか、この人」
「うむ、自力で思い出した。脳トレ成功だ。何の事はない。他愛ない話だ。参考までに鬼鮫、お前の好きな作家を教えろ」
「・・・何ですか急に・・」
「いいから言ってみろ」
「アガサ・クリスティ、ラヴクラフト、ピエール・ルメートル、ポーリーヌ・レアージュ」
「・・・・?意外に取り留めがないな・・・」
「・・・正統派かミーハーかわかり辛ェ・・・・」
「最後にブッ込んできましたねえ。へえェ」
「・・・エグいな」
「面白ェ。他の連中にも聞いてみっか?中身が知れるぜ?」
「人が悪いな、サソリ。面白い」
「リーダーはわかるぜ。アイツァぜってェ発売日に並んで村上春樹を買うタイプだ。賭けてもいい」
「太宰治。斜陽、人間失格」
「クク・・」
広間を出て行った二人を見送って、牡蠣殻は首を傾げた。
「本好きですよねえ、サソリさん」
「ほっときなさい。暇なんですよ」
「・・・O嬢の物語って本気ですか」
「私も暇なんですよ」
「ハハ・・・大丈夫か、暁・・・」