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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第13章 氷の国王と氷の貴公子


「・・・・・・待って」

ルイ「・・・?」

 思わず零れてしまった言葉に
 目を泳がせて、
 私は咄嗟に繋いでない方の手で
 賑やかなホールを指差した。

「・・・まだ、音楽は止まってないから・・・私と、踊ってくれる?」

(・・・ルイから繋いでくれたこの手を、今は離したくない)

 真っ直ぐにルイの瞳を見つめて
 返事を待っていると、
 ルイは微かに目を細めた。

ルイ「普通、ダンスは男性から誘うものだよ。・・・けど、今夜先に誘ったのは、俺だったね」

 そんな言葉とともに
 離されかけた手が、
 ゆっくりと繋がれた。

 ルイの手をきゅっと握ると、
 それを合図に
 ゆっくりとステップを踏み始める。

(・・・なんか、夢の中にいるみたい)

 音楽に身を委ねて
 優雅にステップを踏むルイは、
 まるで小さい頃によく読んだ
 絵本から出てきた王子様みたいだ。

(でも、夢じゃないってちゃんと解る。・・・ルイの手が、温かいから)

 無意識に顔が綻ぶと、
 少し上からルイの声が降ってくる。

ルイ「・・・楽しい?」

「・・・凄く」

(・・・きっとあの男性とじゃこんな気持ちには、ならない。他の誰かじゃなくてルイだから)

「・・・こうして、二人で踊るとダンスって楽しいね」

ルイ「それ、昨夜も聞いたよ」

(あ・・・・・・)


「・・・ダンスって、二人で踊ると楽しい、ね」

ルイ「・・・そう、かな」

「・・・うん。だって、今楽しいから」

ルイ「それは君が酔ってるから」


 ルイの言葉に
 酔っていた時の記憶が蘇って、
 首筋が熱くなっていく。
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