【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第13章 氷の国王と氷の貴公子
・・・・・・・・・・・・
ゼノ様の言葉通りすぐに準備は整い、
テーブルにはシュタインのデザートワイン、
そしてその隣には
ウィスタリアの白ワインが並べられた。
ゼノ「・・・では、二国間貿易締結3周年を祝い、」
ルイ「これからも名実共に、特別な会社であることを願って・・・」
二人が高くグラスを持ち上げると、
乾杯の声が響き渡る。
(・・・・・・良かった)
ほっと息をついて、
手元のグラスを見つめる。
(・・・少しは、プリンセスらしく・・・ルイの秘書らしく、手助けできたかな)
ホールには音楽が流れ出し、
ちらほらと踊りだす人たちがいる。
壁際でその光景を眺めていると、
目の前に影が落ちた。
社長「初めてお目にかかります、プリンセス」
(・・・・・・誰)
社長「どうか一曲、私と」
(・・・酔っ払い)
「・・・・・・すみません、まだワインを楽しんでいるところですので・・・」
社長「そう言わずに、一緒に踊りましょう」
断ったにもかかわらず、
男性が強引に
私の手を取ろうとした瞬間・・・・・・
ルイ「・・・プリンセス」
そっと手を取られ、
ルイが私を引き寄せた。
ルイ「踊って、頂けますか・・・?」
(・・・・・・え)
ルイは視線だけで男性に会釈をすると、
私の手を引いてバルコニーへ向かう。
人の声が少しだけ遠くなり、
柔らかな夜風が頬を撫でる。
シュタインの夜空を背に、
手を引いたままのルイが私を見つめた。
ルイ「断る女性を無理やりダンスに誘うなんて、紳士としての品位を疑う・・・」
「え?」
ルイ「あの人・・・」
ルイは長い睫毛を微かに伏せて呟く。
ルイ「君を気に入ったみたいだから」
「・・・酔ってただけじゃない?」
ルイ「違う」
ルイの言葉が
きっぱりと私の言葉を否定した。
「・・・・・・連れ出してくれて、ありがと」
(・・・気、遣わせちゃったな)
ルイ「・・・うん」
その返事と同時に、
繋いだままだった手の力が
ふっと緩んで指先が離れそうになった。