【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第12章 ワインとダンスと貴方と本音
「・・・自分にプラスになることしか考えてない人は、そんなこと、しないでしょ」
ルイ「・・・・・・」
(どうして嫌がってたのに、秘書になることを了承したのか。仕事の話をする時、どうして悲しそうな顔をするのか・・・)
「・・・ルイと出会ってから、よくわからないことばかり・・・・・・」
ルイ「・・・・・・?」
「けど、これだけはわかる」
寝返りを打って、
ルイの瞳を真っ直ぐに見つめる。
「・・・ルイは、自分のためだけに動く人じゃない。・・・動ける人じゃない」
きっぱり言い切ると、
ルイの瞳が揺らぐのがわかった。
ルイ「・・・・・・・・・」
影が揺れて、
空気まで揺れたような気がした。
(ルイの・・・・・・腕?)
抱きしめられるより先に、
腕を伸ばしてルイを抱きしめた。
ルイ「・・・・・・っ」
私の腕の中でルイが小さく息を呑む。
「・・・・・・」
私も、
自分の行動に驚いて小さく息を呑んだ。
(・・・ルイといると、自分が自分じゃなくなったみたいになる・・・・・・)
腕の中にいるルイの体温が、
私をほっとさせる。
(あったかい・・・・・・)
心地よい体温を腕に抱き、
私は深い眠りに落ちた。
零に抱きしめられたまま、
ルイは身動きが取れず視線だけを上げた。
目の前の零は、
人形のように美しい顔を
少しだけ赤く染め
穏やかな表情で眠っている。
ルイ「君といると・・・・・・おかしくなる」
ルイは視線を伏せて呟くと、
そのまま静かに目を閉じた・・・――。