【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第12章 ワインとダンスと貴方と本音
「・・・『願いが、叶う・・・花』」
その表紙には、
純白の一輪の花が咲いていた。
何気なく
パラパラとページを捲っていくと、
それがウィスタリアの古い絵本だと分かった。
(この白い花を見つけると、何でも願いごとを叶えてくれる、か・・・)
(・・・願い・・・・・・)
そんなものを抱くのは、
遠い昔に諦めた。
(願っても、全てが叶うわけじゃない・・・)
視線を伏せながら、
私は静かに絵本を閉じる。
瞼を閉じて息をつくと、
ふっと瞼の裏にルイの顔が浮かんだ。
(・・・ルイに聞いたら、なんて答えるかな・・・)
いつも少しだけ悲しそうな
ルイの顔を思い出しながら
そっと本を戻すと、
私は図書館を後にした。
・・・・・・・・・・・・
――・・・そして、パーティー前日の夜。
私はユーリに頼んで
用意してもらったワインを、
キッチンで一人テイスティングしていた。
カウンターに
何本ものワインボトルとグラスを並べて、
本を捲りながら
グラスを傾けていると・・・・・・
ルイ「・・・なにしてるの」
本から視線を外し
声がした方に目を向けると、
ルイが怪訝な表情で立っていた。
「・・・パーティーに備えて、ワインのテイスティング。ルイは?」
ルイ「水を取りに来た・・・」
「・・・そう」
再び本に視線を落とすと、
冷蔵庫から
水のペットボトルを手にしたルイが
隣に立つ気配がした。