【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第12章 ワインとダンスと貴方と本音
――・・・翌日から、
数日後に行われるパーティーに向けて、
慌ただしい日々が始まった。
(・・・ここで、こう・・・)
一日の公務を終えた私は、
ダンスホールの床に本を広げて、
一人ダンスの練習をしていた。
(ダンスなんて、ほとんどやったことないからな・・・)
本を見ながら
慣れないステップを踏んでいると、
少し離れたところから
不意に声が聞こえてくる。
アラン「指導役もつけないわけ」
「なんだアランか・・・」
アラン「なに、その言い方」
アランは意地悪く笑うと、
その場にしゃがんで
膝の上で頬杖をついた。
アラン「3周年パーティー、行くって聞いた。・・・練習、あいつに頼めばいいのに」
「・・・・・・」
アランが言う『あいつ』に、
すぐ見当がついてしまう。
(・・・確かにダンスは一番上手いってユーリが言ってたし、ルイに教えてもらえれば間違いはないだろうけど・・・)
「・・・主催者側のルイに教わるのは、私が納得いかない」
アラン「・・・ふうん、なら自力で頑張ってみれば」
アランは立ち上がると、
思い出したように小さく呟いて
私を見下ろした。
アラン「そのパーティー、俺は護衛につかないから」
「・・・そう」
アラン「お手並み拝見だな、プリンセス?」
面白そうに口角を上げて
見下ろすアランに、私はため息をつく。
「・・・勝手に言ってて」
視線を伏せて呟くと、
アランはふっと笑って
軽く手を上げホールを出て行った。
・・・・・・・・・・・・
ダンスの練習を終えて、
本を戻しに図書館に入る。
(・・・これを返して・・・あ、ワインのことも覚えとおかないと)
背伸びをして、
少し高いところにある
ワインの本に手をかけた時・・・・・・
(あ・・・)
ワインの本を抜き出した拍子に、
隣にあった本が床に音を立てて落ちた。
しゃがんで本を拾い上げると、
瞬間、
その表紙に目が吸い寄せられる。