【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)
第8章 冷たい瞳のその奥に
ユーリ「あーあ、俺、引き止めて逃げられたのなんて初めて」
「・・・・・・ユーリ」
ユーリ「・・・なんちゃって。俺も、止める気なんてなかったけど」
「・・・・・・」
視線だけで尋ねると、
ユーリは私の顔を覗き込んだ。
ユーリ「零様が、ただ、ルイ様のためだけに動いたのがわかたってこと」
「・・・そう」
ユーリ「ごめん、・・・ここにいたから聞こえちゃった」
ユーリはバルコニーに面した窓を指差して、
困ったように笑った。
(・・・ほんと、変な執事・・・)
「・・・ユーリ。私・・・ルイのそばにいようと思う」
ユーリ「そばに・・・?」
「・・・きっと、ルイは私と同じだから・・・」
ユーリ「え・・・?」
「・・・私が、ルイを好きになることはない。ただ・・・100日間、私はルイを・・・全力で守りたい。・・・・・・それって、100日間のプリンセスだからできること・・・でしょ」
ユーリ「・・・・・・そっか。それなら俺は全力で支えるよ、プリンセス・・・?」
ユーリがいつもの笑みで笑う。
「・・・よろしく、万能執事・・・?」
私が笑うと、
ユーリが目を見張って
さらに笑みを深めた。
ユーリ「やっぱり・・・、零様は笑うと可愛いね?」
「・・・・・・・・・もう、絶対笑わない」
ユーリの笑い声が響くバルコニーで、
零が落とした
白い花のコサージュを手にしたルイが
足を止める。
ルイ「・・・・・・・・・」
零の言葉に、
ルイは唇を噛み締めた。
ルイ「・・・・・・・・・君は、本当に・・・馬鹿だよ」
コサージュを見つめて呟くと、
それを手に収めて
ルイは歩き出した・・・――。