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【100プリ】 消えない過去と生きる今(ルイとのお話)

第8章 冷たい瞳のその奥に


令嬢「ねえ、ルイ様・・・」

 ルイの腕に
 令嬢が腕を絡ませようと伸ばした瞬間、
 私は後ろから声をかけた。

「お初にお目にかかります」

 令嬢の方々が目を見開き、
 言葉を失う。

 そしてルイがゆっくりと振り返った。

ルイ「・・・・・・っ・・・」

令嬢「あら、貴女がガラスの靴に選ばれたプリンセス?」

令嬢2「確か、日本の元ご令嬢だとか・・・」

令嬢3「日本にもご令嬢がいらっしゃるのね」

 令嬢たちはくすくすと
 私のことを遠回しに侮辱する。

ルイ「・・・・・・・・・」

(・・・そんなつまらないことしか考えていないから、ルイの表情に気づけないんだよ)

 内心呆れながらも、
 私は唇に薄く笑みを乗せる。

「まだまだ慣れないことばかりで頼りないプリンセスですが、どうぞよろしくお願い致します」

 ドレスを軽くつまみ上げ、
 できるだけ優雅にお辞儀をする。

令嬢「・・・!?」

「ハワード卿、先ほどデュレー大公がご挨拶をしたいと仰っていました」

ルイ「・・・・・・そう」

 ルイと令嬢に
 再度お辞儀をして背中を向けると、
 冷たい言葉が浴びせられた。

令嬢「・・・貴女にプリンセスが務まるのかしら」

(・・・来た)

令嬢2「外見だけの、操り人形にならないようにね」

「・・・・・・」

 振り返ると、
 令嬢の方々の口元に
 楽しそうな笑みが浮かんでいる。

令嬢「そうだ、確か3日後に行われる親善パーティー。とても気難しい国王陛下がいらっしゃるのよね」

(・・・親善パーティー・・・)

 その言葉だけで、
 次に何を言われるのかは
 大体予想がついた。

令嬢「その方を貴女がもてなせたら、・・・プリンセスだって認めて差し上げるわ」

ルイ「・・・・・・行こう」

 ルイの手が、
 周りの人からは見えない角度で
 私の手首を掴んだ。

「・・・分かりました」

 返事をした瞬間、
 掴まれた手の力が強くなる。

「あ。でも、一つだけ・・・。皆さん、私がどこの国の出身かお忘れなのでは・・・?」

令嬢「・・・・・・?」

 令嬢の方々が眉を寄せるのと、
 ルイが私を掴んだ手に力を強めるのは
 同時だった。
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